本の虫
2015-05-11T10:27:17+09:00
aquasas
読んだ本の覚え書き
Excite Blog
『笹の舟で海をわたる』 角田光代
http://aquasas.exblog.jp/21779806/
2015-05-11T10:27:16+09:00
2015-05-11T10:27:17+09:00
2015-05-11T10:27:17+09:00
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角田光代
終戦から10年、
主人公・左織(さおり)は22歳の時、
銀座で女に声をかけられる。
風美子(ふみこ)と名乗る女は、
左織と疎開先が一緒だったという。
風美子は、あの時皆でいじめた女の子?
「仕返し」のために現れたのか。
欲しいものは何でも手に入れるという風美子は
やがて左織の「家族」となり、
その存在が左織の日常をおびやかし始める。
うしろめたい記憶に縛られたまま手に入れた「幸福な人生」の結末は――。
読み始めてもなんだか物語に入っていけず遅々として進まない。
図書館の返却期限が迫って来るしもう読了するのを諦めようか・・・とさえ思う。
こんなことは角田さんの小説では珍しいこと。
それでも中盤あたりから次第に勢いがつき無事読了することができました。
変遷する時代とともに左織と風美子の人生を描いた壮大な物語。
戦時中疎開していた子供時代から老年に至るまで
彼女たちの周囲で変化していく時代がリアルに感じられて面白かったです。
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『パノララ』 柴崎友香
http://aquasas.exblog.jp/21709487/
2015-04-14T11:37:07+09:00
2015-04-14T11:37:08+09:00
2015-04-14T11:37:08+09:00
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柴崎友香
二八歳の「わたし」(田中真紀子)は、
友人のイチローから誘われ、
彼の家に間借りすることにした。
その家は変な家で、コンクリート三階建て(本館)、
黄色い木造二階建て、
鉄骨ガレージの三棟が無理やり接合され、
私の部屋はガレージのうえにある赤い小屋。
イチロー父の将春は全裸で現れるし、
母で女優のみすず、姉の文、妹の絵波と、
家族も一癖ある人ばかり。
そんなある日、イチローは、自分はおなじ一日が2回繰り返されることがたまにある、
と私に打ち明けるのであった。
柴崎さんお得意のなんでもない日常を描いた物語。
だけど今回はちょっと特殊なシチュエーションがチラホラと。
イチローの繰り返し体験だったり、文のショートワープだったり。
そういう描写にえ?と気になりつつも不思議とサラサラと読めてしまう。
たまたま縁あって間借りした部屋。
そこから真紀子の人生というか日常は変化して・・・・。
住む場所によって否応なく体験する出来事ってあるんだなぁ。。。
将春さんの強烈なキャラやみすずさんの掴みどころのなさがたまらなく良かったです。
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『地図とスイッチ』 朝倉かすみ
http://aquasas.exblog.jp/21675148/
2015-04-01T11:00:50+09:00
2015-04-01T11:00:51+09:00
2015-04-01T11:00:51+09:00
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朝倉かすみ
昭和47年9月8日。同じ日、
札幌の同じ病院で生まれたふたりの赤ちゃん
「ぼく」蒲生栄人と「おれ」仁村拓郎。
進学、就職、結婚、離婚etc.……
毎日毎日、無数にあるスイッチの中から
ひとつを選んで押して、
選択を繰り返したふたりの男は、
どんな道筋でそれぞれの人生の「地図」を描いてきたのか―。
現在と過去を行きつ戻りつ語られる2人の男の人生。
特別感のないごくごく普通の人の平凡な人生が
朝倉さんの手に掛るとなんとなくドラマチックになるから不思議だ。
あと面白かったのが、
各章の初めにその章で語られる時代背景が
「おもなできごと」として記されているところ。
その年のNHK紅白歌合戦の詳細(司会・審査員・トリなど)なども。
ピックアップされたそのすべての時代を私も生きているので、
二人の物語を追いながら当時の自分自身を振り返ったりもして、
なかなか面白い読書タイムとなりました。
それにしても紅白歌合戦って、その時代を如実に表してるものですね~。
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『家族シアター』 辻村深月
http://aquasas.exblog.jp/21657128/
2015-03-25T11:19:10+09:00
2015-03-25T11:19:11+09:00
2015-03-25T11:19:11+09:00
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辻村深月
お父さんも、お母さんも、おじいちゃんも、
おばあちゃんも、娘も、息子も、お姉ちゃんも、
弟も、妹も、孫だって―。
ぶつかり合うのは、近いから。
ややこしくも愛おしい、すべての「わが家」の物語。
「「妹」という祝福」 「サイリウム」
「私のディアマンテ」 「タイムカプセルの八年」
「1992年の秋空」 「孫と誕生会」
「タマシイム・マシンの永遠」
家族という分かるようで分かり合えない複雑な関係性を描いて、どのお話も秀逸。
そして、ラストはジーン。。。
どれもよかったけれど、私は「1992年の秋空」と「タマシイム・マシンの永遠」が好き。
サラリと読めて読後は心温まるとても素敵な短編集でした。
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『Red』 島本理生
http://aquasas.exblog.jp/21639662/
2015-03-18T11:42:01+09:00
2015-03-18T11:42:17+09:00
2015-03-18T11:42:17+09:00
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島本理生
三年間もセックスレスじゃなかったら―
大人の恋愛と官能の世界。
妻、母を生きる女が一線を越えるとき、
そこにはどんな世界が待っているのか―。
充実した毎日を送っていたはずの女は、
かつての恋人と再会し、
激しく身体を重ねた記憶に導かれるように
快楽の世界へと足を踏み入れていく。
自己評価が低くなんでもため込んでしまう塔子。
同居の夫の両親に気を遣い、話の通じない夫にうんざりし、
それでもいい妻、いい嫁、いい母でいようとする塔子。
それでいて昔の男・鞍田とは関係を引きずり、
同僚の男・小鷹にも翻弄され・・・・。
もう読んでいて塔子にイライラしっぱなし。
島本理生が初めて挑む官能の世界ということで、
まあその部分はかなり頑張っているとは思いましたが・・・・。
どうやら私、島本さんの小説とは相性が悪いようです。
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『夢幻花』 東野圭吾
http://aquasas.exblog.jp/21616855/
2015-03-09T10:58:11+09:00
2015-03-09T10:58:12+09:00
2015-03-09T10:58:12+09:00
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東野圭吾
独り暮らしをしていた老人・秋山周治が
何者かに殺された。
遺体の第一発見者は孫娘の梨乃。
梨乃は祖父の死後、
庭から消えた黄色い花のことが気にかかり、
ブログにアップする。
ブログを見て近づいてきたのが、
警察庁に勤務する蒲生要介。
その弟・蒼太と知り合った梨乃は、蒼太とともに、
事件の真相と黄色い花の謎解明に向けて動き出す。
西荻窪署の刑事・早瀬らも、事件の謎を追うが、そこには別の思いもあった。
冒頭の2つのプロローグが事件にどんなふうに関わっているのか、
事件のキーとなる黄色い朝顔の謎とは何なのか・・・・。
読み進むに従ってバラバラのピースがひとつひとつはまりだし、
最後まで一気読みでした。
やはり東野さんのミステリーは読ませますね!
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『春の庭』 柴崎友香
http://aquasas.exblog.jp/21598685/
2015-03-02T11:52:07+09:00
2015-03-02T11:52:09+09:00
2015-03-02T11:52:09+09:00
aquasas
柴崎友香
離婚したばかりの元美容師・太郎は、
世田谷にある取り壊し寸前の
古いアパートに引っ越してきた。
あるとき、同じアパートに住む女が、塀を乗り越え、
隣の家の敷地に侵入しようとしているのを目撃する。
注意しようと呼び止めたところ、
太郎は女から意外な動機を聞かされる……
なにげない日常が淡々と描かれているだけなのに
どうしてこんなに魅力的なのだろう。
隣の家も女と太郎が住むアパートも彼らが住む街の様子も
その詳細な描写ゆえ読んでいてありありと目に浮かんでくる。
ある家が気になってその中に入ってみたいという衝動は共感できるので、
女がついにその家の中に入ったときの描写はなんだかドキドキした。
もちろん不法侵入とかではなくてそこの住人と知り合ったからだけど。
普通の人たちがいて、普通の暮らしがそこにはあって・・・。
装丁も内容もとても好みの作品でした。
第151回芥川賞受賞作。
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『ダブル・フォールト』 真保裕一
http://aquasas.exblog.jp/21564822/
2015-02-17T12:01:14+09:00
2015-02-17T12:01:24+09:00
2015-02-17T12:01:24+09:00
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真保裕一
28歳の新米弁護士・本條務は、
事務所の代表弁護士・高階徹也から、
初めて殺人事件の弁護を任される。
被告人は、町工場を経営する戸三田宗介。
金融業者の成瀬隆二を
ペーパーナイフで刺殺してしまったのだ。
被告人の減刑を勝ち取ろうと、
本條と高階は成瀬の悪評を集め、
法廷で次々と暴き出す。
ところがー「何で被害者がこんなひどい目にあわされるの。
裁かれるのは父さんじゃない。犯人でしょ!」
被害者の娘・香菜が叫んだ。
そして、隠されていた真相が姿を見せ始める…。
被告人には何か隠していることがあるのでは・・・。
そう直感し、弁護に迷いを見せる本條の葛藤がそのまま読者目線になる。
隠されていた事件の真相もさることながら、
本條と香菜の関係がどう展開していくのか興味深かったです。
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『怜也と』 椰月美智子
http://aquasas.exblog.jp/21533037/
2015-02-05T12:17:26+09:00
2015-02-05T12:18:12+09:00
2015-02-05T12:18:12+09:00
aquasas
椰月美智子
同僚に誘われて初めてライブに参加したその日、
瀧羽直子はロックバンド「ゴライアス」のボーカル、
伶也と出会った。
それからは、伶也が彼女の全てになった。
持てるお金、時間のすべてを注ぎ込み、
スターダムにのし上がっていく伶也を見守り続ける直子。
失われていく若さ、変わっていく家族や友人たち……。
四十年後、彼女に残ったものは一体なんだったのか?
直子の怜也に対する思いは究極の愛と言えるのではないだろうか。
自分が相手にされなくても怜也がどんな人生を歩もうとも
それに寄り添い決して彼を見捨てない。
直子の愛には終わりがない。
たぶん、普通の人には理解できない直子の愛。
怜也に捧げた自分の人生が幸せだったと言い切れる直子は
誰がなんと言ってもきっと幸せだったのだろう。
直子の無償の愛には凄みすら感じる。
私には理解できないけれど、こういう形の愛もあるんですね。。。
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『遊佐家の四週間』 朝倉かすみ
http://aquasas.exblog.jp/21527683/
2015-02-03T11:34:12+09:00
2015-02-03T11:33:50+09:00
2015-02-03T11:33:50+09:00
aquasas
朝倉かすみ
美しく貧しかった羽衣子、
不器量で裕福だったみえ子。
正反対の二人は、
お互いに欠けているものを補い合って生きてきた。
だが、羽衣子は平凡だが温かい家庭を手に入れる。
穏やかな日々は
独身のみえ子が転がりこんできたことから
違った面を見せ始める…。
家族のあり方を問う、傑作長編小説。
みえ子のキャラがとにかく強烈。
その独特の存在感に遊佐家の面々が無自覚なうちに揺さぶられ
各々の立ち位置を模索していく過程がかなり爽快だ。
家族って意外と本音を言い合わないものだなと、しみじみ思う。
毒をまき散らしながら本質に迫っていく手法が朝倉さんらしくてゾクゾクする。
彼女の小説はやはり癖になる。
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『砂に泳ぐ』 飛鳥井千砂
http://aquasas.exblog.jp/21511570/
2015-01-28T10:22:10+09:00
2015-01-28T10:22:03+09:00
2015-01-28T10:22:03+09:00
aquasas
飛鳥井千砂
大学卒業後、地元で働いていた紗耶加は、
やりがいを見つけられず息苦しい毎日を過ごすなか、
思いきって東京に行くことを決心する。
新しい職場で気の合う同僚に恵まれ、
圭介という優しい男性にも出会うことができた。
やがて圭介と半同棲をすることになったが、
彼の自分勝手な言動に違和感を抱きはじめる。
苦悩する紗耶加を救ってくれたのは、
写真を撮ることだった。
そして、思いがけない新たな出会いが紗耶加の運命を変えていくー。
仕事や恋愛で揺れ動く女性の生き様を
圧倒的リアリティで描いた、勇気と希望の物語。
どこにでもいそうな普通の女の子がひとつひとつ段階を踏み
自分の気持ちに正直に生きるところにとても好感が持てる。
辛い状況でも自分を見つめ、人のせいにせず、なんとか生きていこうとする。
そんな沙耶加の自分を信じる気持ちがとても清々しく、
読み終わった後はなんとも言えない清涼感に包まれました。
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『産む、産まない、産めない』 甘糟りり子
http://aquasas.exblog.jp/21495306/
2015-01-22T11:00:15+09:00
2015-01-22T11:00:39+09:00
2015-01-22T11:00:39+09:00
aquasas
あ行・その他
結婚の先にあるものは「妊活」。
不妊治療や育児休暇、羊水検査など、
切実な話題を切り取って、
「女性の選択」を考えさせる小説集。
「最後の選択」「ポトフと焼きそば」
「次男坊の育児日記」「コイントス」
「温かい水」「花束の妊娠」
「レット・イット・ビー」「昨日の運命」
タイトル通り、産む人、産まない人、産めない人・・・・
年齢も立場も状況も様々な女性たちの選択を描いている。
いろんな選択肢があるのは、今の世の中ならではという気もするけれど。。。
その選択がどのように彼女たちの人生を変えたのか、
あるいは変えなかったのか・・・・どのお話もとても興味深く読めました。
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『ローカル線で行こう!』 真保裕一
http://aquasas.exblog.jp/21486759/
2015-01-19T10:18:57+09:00
2015-01-19T10:18:38+09:00
2015-01-19T10:18:38+09:00
aquasas
真保裕一
県下最大のお荷物といわれる赤字ローカル線、
もりはら鉄道は、廃線の瀬戸際に立たされていた。
再生を図るため、前社長が白羽の矢を立てたのは……
なんと新幹線のカリスマ・アテンダント。
篠宮亜佐美。三十一歳、独身。
「この鉄道の経営は、素人以下です」
「お金がないなら、智恵を出すのよ!」
県庁から送り込まれた鵜沢哲夫以下、
もり鉄社員は戸惑うばかり。
しかし、亜佐美は社長に就任するや、規格外のアイデアを連発し、
鉄道と沿線の町はにわかに活気づいていく。
一方、時を同じくして、列車妨害、駅の放火、
台風による崖崩れと、数々の事件が亜佐美たちを襲う。
そんな中、社員すべての希望をかけた「もり鉄フェスティバル」の日がやってくるが……。
赤字鉄道の再生は? 寂れた沿線の町おこしは?
そして、不穏な事件の真相は? もり鉄に明日はあるのか?
亜佐美の男前キャラがなんとも小気味よい。
有言実行、弱音は吐かず、陰で努力も欠かさない。
そんな亜佐美にいつしか感化され仕事に意義を見出す社員たち。
ただの赤字鉄道再生物語だけに終わらないところがこのお話の面白いところ。
不審な事件の裏に隠された大きな企てが解明されるクライマックスは、
もり鉄フェスティバルの盛り上がりと相まってなんとも言えず痛快!
少しだけ盛り込まれた恋愛要素がまたいい味出してました。
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『田舎でロックンロール』 奥田英朗
http://aquasas.exblog.jp/21473899/
2015-01-14T10:40:13+09:00
2015-01-14T10:40:20+09:00
2015-01-14T10:40:20+09:00
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奥田英朗
英米ロックが百花繚乱の様相を呈していた70年代。
世界地図の東端の、
そのまた田舎の中学生
オクダ少年もその息吹を感じていた。
それはインターネットが登場する遥か前。
お年玉と貯金をはたいて手に入れた
ラジオから流れてきた音楽が少年の心をかき鳴らした。
T・レックス、ビートルズ、クイーン…。
キラ星のごときロック・スターたちが青春を彩り、
エアチェックに明け暮れた黄金のラジオ・デイズ。
なけなしの小遣いで買った傑作レコードに狂喜し、
ハズれレコードを前に悲嘆に暮れる。
念願のクイーンのコンサート初体験では
フレディ・マーキュリーのつば飛ぶステージに突進!
ロックのゴールデン・エイジをオクダ少年はいかに駆け抜けたのか?
ロックに心酔する奥田さんの熱い日々が
これでもかというくらい詳細にユーモラスに描かれていています。
私自身ロックにはそれほど詳しくはないけれど、
奥田さんとは同世代なのでその時代の空気感や
青春特有の甘酸っぱい郷愁が共有でき非常に楽しい読書タイムでした。
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『魔術師の視線』 本多孝好
http://aquasas.exblog.jp/21471261/
2015-01-13T10:29:47+09:00
2015-01-13T10:29:11+09:00
2015-01-13T10:29:11+09:00
aquasas
本多孝好
ビデオジャーナリスト楠瀬薫の前に
突然現れた少女。
それはかつて“超能力少女”として
世間を騒がせた諏訪礼だった。
あの時薫の取材で姿を消した礼が今なぜ?
過去を贖うため礼を匿った薫を襲う不審な追跡者、
協力する知人の怪死、大物政治家の影。
本当の標的は誰なのか。
礼が抱える秘密とは。
二人の逃避行は想定不能の結末へ――。
冒頭から謎が謎を呼び、スリリングな展開で目が離せない。
様々な登場人物と怪事件がどんなふうに絡んでいくのか、
そしてこの話はどんなふうに収束していくのか、
最後まで引っ張られるように読み進みました。
超能力という不可思議な力の前に、人間のエゴや弱さが炙り出される。
礼と薫の関係はこれからどんなふうになっていくんだろう。。。
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