若年性アルツハイマーに冒された主人公は、働き盛りの50歳。
「記憶を失い人格もやがて崩壊する」という恐怖を、主人公の目線でじわじわと描く。
治癒の見込みのない病気ゆえ、本人も家族もそれを受け入れるしかない。
未来に希望を持てないということは、なんと辛くせつないことか。
記憶がいかに大切なものか、それを失いつつある私には痛切にわかる。
記憶は自分だけのものじゃない。
人と分かち合ったり、確かめ合ったりするものでもあり、
生きていく上での大切な約束ごとでもある。
たったひとつの記憶の欠落が、
社会生活や人間関係をそこなわせてしまうことがあるのだ。
映画化が決まっているそうだ。
主演は渡辺謙。
監督は、このせつな過ぎる彼の人生をどんなふうに描くのだろうか。。