様々な年代の女性の様々な恋愛を描いた短編が11編。
どの短編もとても短くサラリと読めるのだが、
女の業をぎゅっと凝縮して嫌というほど見せ付けられる。
ユーミンの歌を聴いてるときに「あるある、こんなこと!」と、
思わず膝を打ちたくなるような女側の心理を
さらにエグく描いたような感じ・・・・と言えば
わかってもらえるでしょうか。(笑)
こういうのを書かせると、林真理子は本当に上手いと思う。
「女の名前」の主人公・桃子は、不倫相手の男性に名前を呼んでもらえない。
理由は、母親が同じ名前だからどうしても名前で呼べないというのだ。
だが桃子は、同じ名前なのは母親ではなく妻ではないかと疑うのだ。
そして、名前で呼ばれない女の心理が次のように描かれる。
男に名前を、「さん」も「ちゃん」もつけない下半身裸の名を呼んでもらうことは、
「愛してる」という言葉以上の重みを持つものだ。
全くその通り!と思わず膝を打った私です。(笑)