身近にいる人に感じる憎悪や悪意がテーマの短編集。
誰でも感じ得るささいな(あるいはあからさまな)憎悪を
角田さんは様々な関係において執拗に描き出す。
夫婦、元恋人、親子、教師、友達・・・・。
だから後味はあまり良くはない。
良くないどころか、はっきり言って悪い。
読後はざらついた感情だけが残る。
だけど読んでいる最中なぜかゾクゾクしたのです。
1編を読み終えるごとに、
次はどんな憎悪や悪意を見せてくれるのだろうという期待感。
そして角田さんは決して期待を裏切らない。
きれいごとだけでは終わらない人生や誰もが抱えるやるせない日常を
憎悪というテーマで描き出すことで相反する愛情の度合いのようなものまで見せてくれる。
好き嫌いは分かれると思うけど、角田さんらしさ全開のこういう話私はすごく好きです。