普通の少年がなぜ殺人者になったのか・・・。
14歳の久藤美也、葛城拓馬、神原尚彦。
彼らが抱える闇は底なし沼のように深くどす黒い。
それぞれ別の殺人を犯し少年院で出会った3人。
少年院を出て再び巡り会い新たな犯罪に手を染める3人。
何が彼らをそうさせるのか、
彼らの生い立ちに始まり世の中に違和感を持つまでの
3人それぞれの心の裏側を著者は丹念に描く。
少年院での人権を無視されたかのような生活、
陰湿ないじめや嫌がらせは
読んでいて本当にこんなことが現実にあるのか・・・と
暗澹とした気持ちになる。
被害者側に立てば、
犯罪を犯した少年は少年法で守られているように思えるが
決してそれだけが真実ではない。
罪を償いたくても、少年院ではそれが叶わない。
少年院は贖罪よりも何よりもまず、更生こそが第一義だからだ。
これは主に加害者の少年たちに焦点を当てた話ではあるが、
被害者の遺族や加害者の家族友人恋人など周囲の人たちの視点も交え
様々な角度から「少年犯罪」というものが持つ暗闇を著者は呈示する。
それにしても14歳の少年って、ここまで深く自己の違和感と対峙できるものだろうか。。。
かつて14歳だった息子を二人持つ私にとって、
ここに書かれている14歳は想像の範疇をはるかに超えるものだった。
後味は決していいものではないが、
「少年犯罪」への見方がこれを読む前と後では私の中で少なからず変わったのは事実だ。