両親が家庭内別居をする家に育った依子。
依存し合わず家族3人それぞれのペースで
暮らす日々はそれなりに快適だった。
だって幼い頃からそういう環境しか知らなかったのだから。
家族とはそういうものだと思っていたのだ。
父親が福岡に転勤、母親が上海に長期出張になった今
高校生の依子は親友の梢の家に居候することになる。
梢の家は3世代が同居する大家族。
依子にとっては別世界だ。
ジイジ、バアバ、お父さん、お母さん、兄の拓巳くん、妹の多美ちゃん。
それぞれが個性的な面々で毎日の生活自体が驚きの連続だったが・・・。
これはとても素敵な家族小説だ。
よくありがちな核家族と大家族の対比を前面に押し出すのではなく
あくまでも家族それぞれの個性やそれまでの人生を描き出すことによって
家族とは何か一緒に暮らすとはどういうことかを、自然な形で問いかけてくる。
登場人物それぞれに大島さんの優しい目線が注がれていて、
一緒にいても離れていても、家族の絆って素敵だな・・・と素直に思えるのでした。